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2022.10.13

筋トレで頭が良くなる

「運動は受験が終わるまで控えよう」、そう思っていた方に朗報です。運動と勉強は相反するものだと思われがちですが、実は深いかかわりを持っているのです。

脳は一つの部分を刺激するよりも、様々な部分を刺激することによって、より活性化します。つまり「勉強」と「運動」という異なる刺激を与えることによって、勉強だけをする場合よりも脳が活性化され、長期的な記憶を保持する効果が高まるのです。

『筋トレで頭が良くなる!』と言われても実感が湧かないかもしれませんが、

実はコレ、科学的に論文でも証明されていて、

 「筋トレをすると頭が良くなる(認知機能が高まる)」

というふうに現代のスポーツ科学では考えられています🤗

◆ 継続的な筋トレが認知機能を高める

例えば、仕事ができる人はその仕事の目的を明確にして、達成するための計画を立て、修正しながらも効率的に行動することができます。このような能力を「遂行機能(あるいは実行機能)」と言います。

また、会議では、多くの情報を得ながら、同時に処理をして仕事の方針を決定しなければなりません。このような情報の保持と処理を同時に行う能力を「ワーキングメモリ(作業記憶)」と言います。

さらに、仕事では多くの困難に直面します。そのときには柔軟に代替案や解決案を提示しなければなりません。このような能力を「認知の柔軟性」と言います。

難しい作業を効率的に行い、物事を適切に判断し、困難な場面で柔軟に対応するためには、遂行機能やワーキングメモリ、認知の柔軟性といった能力が必要であり、このような認知機能を高いレベルで発揮できる人が「仕事のできる人」なのです。

そして、最新のスポーツ科学や脳科学は、筋トレがこのような認知機能に与える効果について、こう述べています。

「筋トレは、遂行機能やワーキングメモリ、認知の柔軟性などの認知機能を高める」

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これまで、脳の認知機能の向上には、ジョギングなどの有酸素運動による効果が示されてきました。

2010年、これまでに報告されたウォーキングやジョギングによる認知機能への影響を調査した29の研究報告をまとめて解析したメタアナリシスでは、1ヶ月以上の有酸素運動が遂行機能や情報処理の速度、記憶の向上に寄与することが示されています(Smith PJ, 2010)。

また、有酸素運動による認知機能への即時的な効果を検証したメタアナリシスでは、1回の有酸素運動を行うことによって、即時的に遂行機能などの認知機能が高まることが示唆されています(Ludyga S, 2016)。

このように、有酸素運動は長期的にも、即時的にも認知機能を高める効果が示唆されており、エビデンスが積み重ねられているのです。

そして、近年では筋トレによる認知機能への効果のエビデンスも示され始めています。

2018年、オーストラリア・キャンベラ大学のノーザイらは、50歳以上の被験者を対象に行われた継続的な有酸素運動や筋トレによる認知機能への影響を解析したメタアナリシスを報告しました。

39の研究報告をまとめて解析した結果、筋トレは遂行機能(SMD:0.49)やワーキングメモリ(SMD:0.49)の認知機能の向上に寄与することが示され、有酸素運動だけでなく、筋トレを継続的に行うことによっても認知機能が高まることが示唆されました。

しかしながらノーザイらの報告は、対象者の年齢が50歳以上に限定されていたため、若年者に一般化することはできません。そこで、幅広い年齢層を対象に、筋トレによる認知機能への効果を検証したのがドイツ・ゲーテ大学フランクフルトのウィルケらです。

◆ 筋トレは即時的にも認知機能を高める

2019年、ウィルケらは、これまでに報告された筋トレによる即時的な認知機能への効果について解析した最新のメタアナリシスを報告しました。

12の研究報告(20〜70歳代の447名)をもとに、筋トレによる即時的な認知機能への効果を解析した結果、筋トレを行ったグループは、行っていないグループよりも即時的に認知の柔軟性が向上し(SMD: 0.73, p=0.004)、ワーキングメモリが向上する傾向(SMD: 0.35, p=0.07)が認められました。

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Fig.1:筋トレが認知の柔軟性に与える効果 (Wilke J, 2019より引用)

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Fig.2:筋トレがワーキングメモリに与える効果 (Wilke J, 2019より引用)

この即時的な効果は、特に40歳以下の若年者で高く、またトレーニング経験が長く、低強度または高強度トレーニングを行ったときに効果が高いことが示されました。

また、有酸素運動と筋トレを比較した結果では、双方ともに認知機能の向上が示されましたが、そこに有意な差は認められませんでした。

これらの結果からウィルケらは、1回のトレーニングセッションは即時的に認知機能を向上させる中等度の効果があり、この効果に年齢は関係ないことを示唆しています。

では、なぜ筋トレによって認知機能が高まるのでしょうか?

ウィルケらはその因子として「脳の血流量、コルチゾール、BDNF」を挙げています。

トレーニングを行うと、動脈血圧が増加します。通常、脳の血流量は一定に保たれるように制御されていますが、トレーニングによって一時的に脳の血流量が増加することが示唆されています(Ogoh S, 2009)。ウィルケらは、この一時的な脳の血流量の増加が、トレーニング後の即時的な認知機能の向上に寄与していると推察しています。

 筋トレのような高強度のトレーニングはストレス・ホルモンであるコルチゾールの放出を促進します。コルチゾールは、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)などの合成を制限し、覚醒を引き起こす作用があります。この覚醒作用が認知機能を向上させることが示唆されています(Tsai CL, 2014)。

 脳の血流量の増加、コルチゾールによる覚醒作用は、筋トレによる即時的な認知機能の増強因子になります。これに対して、筋トレによる長期的な認知機能の増強因子として注目されているのが「BDNF(脳由来神経栄養因子)」です。

 BDNFは、脳の神経細胞が成長し、シナプス結合によるネットワークを構築するためには欠かせない神経系のタンパク質です。5週間のトレーニングによる血液中のBDNF濃度の上昇が確認されており、継続的なトレーニングがBDNFの増加に寄与することが示唆されています(Yarrow JF, 2010)。

 ウィルケらは、筋トレによるこれらの因子の増加が即時的または長期的な認知機能の向上に寄与していると推察しています。

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ノーザイやウィルケらのメタアナリシスは、対象となる研究報告数が少ないですが、筋トレが即時的または長期的に脳の認知機能を高めることを示した現在のところのエビデンスになります。今後は、研究報告数が増えた段階で改めてメタアナリシスを行うとともに、認知機能の向上に最適なトレーニング強度や総負荷量などの検証が必要でしょう。また、メカニズムのさらなる解明が期待されます。

「なぜ、世界のエグゼクティブは仕事の前に筋トレをするのでしょうか?」

この質問に、現代のスポーツ科学はこう答えています。

「筋トレをすると頭が良くなる(認知機能が高まる)」

筋トレをしたあとに、頭がクリアになって、仕事や勉強がはかどる経験をしたことはありませんか?ウィルケらは、筋トレの即時的な認知機能の向上効果から、仕事の休み時間に筋トレを行うことも推奨しています。

これ以外にも

ハーバード大学医学部のジョン・J・レイティ博士によると、運動をすることによって脳の神経細胞が育ち、結果的に頭がよくなるとのこと。また、筋トレを行うと記憶の定着を促す神経伝達物質が分泌されることも判明しています。

米国ジョージア工科大学の研究では、20分間の筋トレで記憶力が10%ほど向上することも分かっていることから、暗記科目を学習した直後に筋トレをするのが最も効果的だと言われています。

このように、勉強に運動を取り入れることによって、むしろプラスの効果が生まれるのです。もっとも効果的なのは、短時間の少し激しい運動と長時間のゆっくりした運動を組み合わせること。

ただ、激しい運動が苦手な方や、あまり時間がとれない方は、自分に合った運動方法を探してみるといいでしょう。

リズム運動と暗記

「記憶力世界一」としてギネスブック記録を保持しているエラン・カッツ氏は、「体を揺さぶりなら勉強すると集中力が高まる。その効果は科学の面からも証明されている」、「歩きながら勉強したほうが、じっと座っているときと比べて2倍の効果がある」と述べています。

また、精神科医であり受験技術研究家の和田秀樹氏も、歩き回りながら暗記することを推奨しています。

身体を動かすことによって脳が活性化し、血液循環が良くなります。また、ウォーキングなどのリズム運動は、記憶のメカニズムに大きく関わるセロトニンの分泌を促し記憶力を高める効果があります。

つまり、科学的にも暗記科目は、家の中を歩き回りながら勉強することがおすすめです。

運動が苦手な方でも 自宅内でできる運動

次に、身体を動かすことが苦手、重い腰が上がらない……という方に試していただきたい方法をご紹介します。

・アイソメトリック
アイソメトリックとは関節の角度を一定にして力を出す運動のこと。なかでも手軽にできるのが次の方法です。

通常よりも少し肘を上げた状態で合掌し、大胸筋に力が入っているのを意識しながらゆっくりと息を吐き、手のひらと手のひらを押し合います。次に、左手の手のひらを上にして軽く曲げ、右手で左手首を握って下に押しながら、左手は反対に上にあげるように力を加えます。これもゆっくりと息を吐きながら左右交互に行います。

この2つの動作を数セット行うだけでも筋トレになり、脳を活性化させる効果があります。

・椅子を使った血液循環を促す運動
脳の血流が滞ると神経回路が働かなくなり、頭が回らなくなってしまいます。そんな脳の血流を促すために効果的なのが「逆立ち」。ただし、逆立ちはできない方も多いですよね。そこでおすすめなのが、誰にでもできて逆立ちと同じ効果のある次の方法。

椅子に腹ばいになった状態で、少しずつ頭を床に向けて下げていきます。ゆっくりと呼吸をしながら、10~20秒ほどかけて血液を循環させましょう。要は、頭の位置を心臓より下にすれば良いのです。他にも、自分に合った方法を探してみてもいいでしょう。

ボールで記憶力向上術

運動による刺激と同様、「握る」という行為も脳に刺激を与えることができます。

米国モントクレア州立大学のRuth E. Propper博士らが、片手で45秒間ゴムボールを握った後に単語を暗記し、15秒間休憩し、再度片手で45秒間ゴムボールを握ったのちに単語テストを行って、記憶の定着度を測るという実験を行いました。

その結果、右手から左手の順にボールを握った時が最も記憶力が高かったことが分かりました。右手は脳の記憶の保持に関わる領域を刺激し、左手は記憶を読みだす領域を刺激するのです。

つまり、暗記をする際には右手でボールを握り、試験中などに思い出す際には左手でシャーペンや消しゴムなどを握ると、脳にとって効果的なのです。


運動と勉強。一見対極に位置しているように見える2つですが、実は両者はこんなにも関わり合っているのです。机から離れたくなった時には、リフレッシュがてら、暗記の勉強や大事な仕事、プライベートの用事の前に、筋トレをして認知機能を高めておくのも良いかもしれませんね😁

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