新型コロナウイルスの感染拡大予防のために、毎日着用するのが当たり前となった「マスク」
実は今、マスクによって引き起こされる「隠れ酸欠」や「マスク頭痛」に悩まされる人が増えています。
原因① マスクの中はまるでサウナ!「熱中症状態」で頭痛に
マスクを着用していると、体温が36.0℃だったとしても、マスクの内側は40.0℃以上に簡単に上がってしまいます。
夏場に長時間着けっぱなしのマスクの内側は、まさにサウナ状態。熱い空気は息苦しいので、人は自然に深呼吸をするようになります。
深呼吸は横隔膜(おうかくまく)や肋間筋(ろっかんきん)などの大きな筋肉を動かすので、体が熱を生み出し、呼気温(吐く息の温度)も上昇します。
呼気温が上がると、脳に近い口腔周囲の血流量が増え、頭蓋内血管が拡張して片頭痛につながってしまうのです。
また、これはまるでサウナの中で軽い運動をしているようなもの。体は軽い熱中症のような状態になってしまっていると考えられます。
さらに、マスクを着けたままジョギングなどの運動をすると、体温や呼気温が通常以上に上昇。そのうえ呼吸の頻度が増える割には換気がうまく行われなくなり、より頭痛が起きやすくなるので注意しましょう⚠️
「マスク熱中症」による頭痛にも要注意!
暑い時期に気をつけたいのが熱中症による頭痛です。マスクの着用で体の負担が増すと、熱中症のリスクは高まります。
熱中症の重症度はⅠ度(軽度)からⅢ度(重度)に分類されますが、Ⅰ度の熱中症では頭痛は起きません。
熱中症で頭痛が起きるのはⅡ度(中等度)以上。片頭痛に似たズッキンズッキンとする頭痛が多くみられます。Ⅲ度(重度)になると「熱射病」に相当する危険な状態です!
熱中症を予防するためには、「のどが渇いた」と感じる前に水分補給をするのが鉄則です。
脳が「のどが渇いた」と感じた時には、すでに血管の中が脱水の傾向にあります。いわゆるドロドロ血、ネバネバ血になって初めて、人は「のどが渇いた」と感じます。それでは「時すでに遅し」なのです。
原因② マスクによる「二酸化炭素過多状態」が、片頭痛を引き起こす!
マスクを着用していると、自分が吐いた息をまたすぐに吸うことになります。すると結果的に二酸化炭素を多く含んだ空気を吸うことになり、脳が二酸化炭素過多の状態になってしまいます。
頭蓋の内側には、脳に酸素と栄養を供給するための血管(頭蓋内血管)が張り巡らされていて、絶えず脳に血液を送っていますが、二酸化炭素は頭蓋内血管を最も強く拡張させる化学的因子で、この拡張が、片頭痛を引き起こしてしまうのです。
外気を遮断できる性能の良いマスクほど、二酸化炭素が豊富で酸素が少ない空気を吸うことになるので、血管が拡張し、片頭痛が起こりやすくなります。
当たり前になっているマスク生活の中で気付きづらい「隠れ酸欠」の人は多いので「大丈夫!」と強がらず、酸素をフルに使える万全の状態で生活しましょう🤗
原因③ 耳かけによる「首のコリ」が、緊張型頭痛の原因に!
マスクをしている間は、耳かけのゴムで両耳が固定されています。
すると、徐々にこめかみの筋肉(側頭筋:そくとうきん)に負荷がかかり、さらにあごの筋肉(咬筋:こうきん)にも負担が及び、最終的には頭蓋骨にくっついた胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)という、首のほぼ中央にある大きな筋肉に強い負担がかかるようになります。
そのうえ、マスクをしていることで表情を気にしなくなり、表情筋も使わなくなりがちに。表情筋を使わないことによる凝りも、胸鎖乳突筋の負担になります。
こうして、いわゆる「スマホ首」と同様の強い首コリが引き起こされてしまい、それが原因で緊張型頭痛が起きてしまうのです。
「マスク頭痛」を防ぐにはどうしたらいいの?
マスクを着けないで出かけることは難しいですが、人との距離を十分に保てて、なおかつ感染の心配のない場所では、1時間に1分でもよいのでマスクを外すようにしましょう。
口腔周囲温度が低下し、体内の二酸化炭素濃度も急減します。
また、屋外では日傘をさすのもよい対策です。直射日光を浴びないので頭部や顔面の温度も比較的上がりにくく、周囲の人と日傘がぶつからないように距離を取って歩くので、自然とソーシャル・ディスタンスが保ちやすくなり、マスクを外すタイミングも増やすことができます。
熱中症予防には、マスクに冷却スプレーを塗ったり、屋内では空調を通常の設定温度よりもやや低めにしたりして、体温の上昇を防ぐことが大切です。
マスクと上手に付き合いながら、「マスク頭痛」を防いでいきましょう!